タワーマンション(タワマン)節税の監視強化の報道を、軽く解説してみました。

先日、タワーマンション節税に対する相続税節税の監視強化について各メディアで報道がなされました。

 

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO93575700S5A101C1CR8000/

http://www.asahi.com/articles/ASHC254R6HC2UTIL02C.html

http://www.sankei.com/life/news/151104/lif1511040025-n1.html

 

 

この報道について、税制が変わったといったとらえ方をされている方も多いかと思います。

 

しかし、実はそうではありません。この報道以前から、タワーマンションを利用した過度の節税で否認がなされた話は耳にしていました。各種報道にあるとおり、「チェックを厳しく」「監視強化」と言う話に過ぎません

 

相続税は、相続する財産の評価額に応じて税額が課される税金となっています。

そして、その財産の評価について、法律上は相続税法上第22条の「時価」で評価しましょう。という条文がほぼ全てであったりします。

 

タワーマンションが相続税の節税になる。相続税を計算する際に評価が安くなる。といった話は、相続税の計算にあたり時価をどう計算するかを具体的に取り決めた「財産評価基本通達」という、いわば役所の中での取り決めごとに基づいた話となります。

 

しかも、「財産評価基本通達」の6で、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」。平たく言えば、「この「財産評価基本通達」という役所の中の取り決めごとに従った計算結果が「時価」とは呼べないような結果の場合には、役所の中の取り決めごとに従った評価を行わなくていいよ。」という定めがおかれていたりします

 

相続税の節税(相続税以外の税金でもそうだとは思いますが)は、テクニック論のみで行うべきものではありません。なぜそうなるのかといった趣旨の理解やバランス感覚なく、法の抜け穴感覚で過度の節税を行おうとすると思わぬ落とし穴に陥ることになります。

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度の使いどころ -その2/2-

平成27年4月よりスタートした、「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度」

 

前回のブログで取り上げたとおり、
この制度は、節税対策という観点からはあまり使える制度ではありません

 

しかし、節税対策に限定せず相続問題に総合的に取り組む場合、相続対策の選択肢を広げてくれる制度であったりします。

 

例えば、お孫様が4名おり、うち2名にそれぞれ1名ずつのお子様(ご本人様から見ればひ孫様)がおられる場合。

 

ひ孫様2名に教育資金の一括贈与の非課税制度を活用して贈与を行おうとした場合、お孫様4名のうち、お子様がおられる2名と、まだおられない2名の間で贈与について不平等が生じてしまいます。

 

かといって、それを調整するためにお子様がまだおられないお孫様2名にも同額の贈与を実行すると、その贈与に対して贈与税が課されてしまう。

 

このような場合に、まだお子様のおられないお孫様2名に対しては結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度を活用した贈与を実施することで、お孫様4名の間で不平等感を与えることなく、教育資金の一括贈与の非課税制度を活用する道筋を開けることとなります。

 

このように、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度はそれ単体では節税対策としてはあまり役立たない制度ですが、他の制度と組み合わせながら総合的に相続対策を進める上において、活用出来る有意義なツールの一つであると私は考えます。

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度の使いどころ -その1/2-

平成27年4月より、「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度」がスタートしました。

この制度は、祖父、祖母、父、母等の直系尊属の方が20歳以上50歳未満の方に対して結婚および子育てのために将来充てる資金を一定の方法により贈与し、所定の届出を行った場合に1,000万円まで(うち、結婚に充てられる資金は300万円まで)について贈与税が非課税となる制度です。

対象となる結婚・子育て資金ですが、具体的には、

結婚資金・・・・挙式費用、結婚披露宴の費用、新居の入居、引っ越し費用等
子育て資金・・・不妊治療・妊婦検診に要する費用、出産のための入院費、分娩費等、子供の医療費、幼稚園・保育園等の保育料等

となっています。

 

実は、この制度、節税対策としてはほとんど活用する意味がありません

 

なぜなら、

結婚や子育て資金も、発生した費用を祖父、祖母、父、母等に払ってもらう分には贈与税はそもそも原則非課税であり、

また、

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度は教育資金の一括贈与の非課税制度と違い、この制度の利用期間中に資金の贈与者がお亡くなりになってしまった場合、結婚・子育て資金として未使用の残額について相続税の対象となってしまう

からです。

 

節税対策として見た場合の唯一の利点は、祖父や祖母から贈与を受けた場合に、贈与者である祖父、祖母の相続が発生した場合に、対象財産がいわゆる相続税額の2割加算の対象から外れることくらいです。

 

では、節税対策という観点だけから見ればあまり意味のないこの制度、活用方法は本当にないものなのでしょうか?

 

それについては、次回取り上げてみます。

相続税対策でタワマン買うくらいなら素直に福岡中心部の不動産の方がよくないか

先日、顧問先の不動産を扱われている方より福岡市中心部の物件の相談を受けました。

 

福岡市の不動産市況は、地方圏としては異例なほど、旺盛な買いニーズに対してとにかく売り物がない状況が続いています。そして、都心部を中心に路線価と大幅にかけ離れた値段での売買の話をよく聞きます。

 

先日ご相談を受けた物件(テナントビル)について相続税評価額を試算してみた結果、相続税評価額が時価の約33%と、タワーマンション(タワマン)ほどではないにしろ、相続税評価額が時価と比べて大幅に低い結果となりました。

 

しかも、この物件は利回りも(福岡都市圏としては)それほど悪くありませんでした。築十年すこしのテナントビル物件で現況の表面利回りが6%台。テナントビルではあるものの、場所を考えると妥当と思える水準でしょう。少なくとも、相続税対策としての手垢が付いていない分、節税対策以外に説明のつかないようなプレミアム価格とはなっていない

 

これを、タワーマンション(タワマン)による相続税対策の落とし穴 -その2/2-の設例にあてはめますと、

 

タワーマンションでの相続税の節税効果が物件投資額の24%

 

であるのに対し、

 

この福岡中心部の不動産の相続税の節税効果は物件投資額の20%

 

 

相続税の節税効果の差は、物件投資額に対して4%しか違いません。

 

不動産での相続税節税というと、タワーマンションとなられる方もおられます。しかし、タワーマンションでなくてもそれに近い節税効果を得られる物件は他にもあります。

さらに、タワーマンションの価格が相続税節税対策の効果分プレミアムが上乗せされているということは、タワーマンションの節税効果が出なくなるような税制改正があった場合、アテにしていた節税効果が得られないことに加え、相続税節税対策のプレミアムが剥げることによるタワーマンションの資産価値の下落という二重の損失に見舞われるということでもあります。

やみくもにタワーマンションを探されるよりも、物件自体の経済的価値のことも考え、タワーマンション以外の物件も視野に入れられる方が賢明である。と、私は考えます。

タワーマンション(タワマン)による相続税対策の落とし穴 -その2/2-

前回、タワーマンション(タワマン)による相続税対策の落とし穴 -その1/2- にて、タワーマンションのプレミアムの件について取り上げました。

では、どの程度プレミアムを出して購入しても、相続税の節税効果でペイすることが出来るのでしょうか。

 

以下の条件で考えてみます。

 

前提条件

相続財産:現金2億円

相続人:兄弟2人のみ

 

(1)相続財産のうち1億円を使って、タワーマンションの最上階を購入。相続税評価額を2千万円に80%圧縮。

 

相続税評価額の圧縮額:1億円-2千万円=8千万円

相続税の節税額:8千万円×限界税率30%=2千4百万円

 

これだけで見ると、相続税を2千万円以上節税出来るため、2千万円のプレミアムを上乗せして購入してもペイしそうに見えます

 

 

では、タワーマンション以外の不動産を使って同じように節税をはかった場合はどうでしょうか?

 

(2)相続財産のうち1億円を使って、マンションを購入。相続税評価額が4千万円を60%圧縮。

 

相続税評価額の圧縮額:1億円-3千万円=7千万円

相続税の節税額:6千万円×限界税率30%=1千8百万円

 

(1)のケースと(2)のケースを比較すると、節税額は6百万円の違いとなります。物件の価格と比較すると6%分の違いでしかありません。タワーワンションだからとわざわざ有り難がってみても、10%もプレミアムがついてしまうと、節税効果分以上の高値買いとなってしまいます

 

 

タワーマンションによる節税方法は、リーマンショック前から富裕層を得意とする税理士事務所界隈では言われている、もはや手垢のつきまくった手法です。

 

割高な価格で買った物件を割高なまま売り抜けられれば良いですが、その保証がないことは認識しておくべきです。

 

 

今後のブログで取り上げようと思いますが、タワーマンションほどではないにしても、タワーマンション以外でも市場の取引価格と相続税評価額と乖離が激しい不動産は存在します。

 

いくらタワーマンションが節税対策になるとはいっても、その物件が節税効果以上に割高であれば意味がありません。節税効果と意味ではタワーマンションほど面白くなくても、節税目的の手垢のあまりついていない、節税目的でなくてもそれなりに経営が成り立つ物件を探された方がいいのでは、と私は考えます。

タワーマンション(タワマン)による相続税対策の落とし穴 -その1/2-

最近、世間一般でもタワーマンション(タワマン)を購入することで相続税を節税する手法が有名になってきました。

 

市場価値の高いタワーマンションの最上階や羨望の良い部屋を購入します。当然、市場価値は同じタワーマンションの他の部屋よりも高いです。

しかし、相続税評価額は、路線価と固定資産税評価額により画一的に評価されます。

しかも、タワーマンションは土地の持分割合が低く、資産価値の中でより相続税評価額が低く出やすい建物の価値のウエイトが高くなります。

結果、区分所有しているタワーマンションの部屋の相続税評価額は、その市場価格と比べて大幅に低くなります。

 

 不動産業者も、相続税増税を機会に相続税対策としてタワーマンションの販売に熱を入れています。

 

ところで、このタワーマンションによる節税方法、落とし穴はないのでしょうか?

 

このタワーマンションによる相続税対策、最大の問題点は、タワーマンションによる節税手法が有名になりすぎた点にあると私は考えます。

 

節税方法として知名度が出ると、当然、相続対策での買いニーズが高まります。結果、タワーマンションで相続税対策に適した部屋にはプレミアムが付くことになります。

 

では、タワーマンション購入時のプレミアムがどの程度であれば、相続税の節税効果でペイすることが出来るのでしょうか?

それについては、次回取り上げます。

夫婦間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除と、その注意点

ご結婚されて20年以上の夫婦について、夫婦間でご自身が住まわれる不動産の贈与を行われる場合、贈与税の申告上、通常の年額110万円の控除に加え最高2,000万円まで贈与の金額から控除できる制度があります。これを、夫婦間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除と呼んでいます。

 

具体的には、夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に、居住用不動産の贈与を行うか、居住用不動産を取得するための金銭の贈与を行ってその翌年の3月15日までに居住を開始、その後も引き続き住み続ける見込みであるある場合に、贈与税の申告の際に贈与額から、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除を行うことが出来ます。つまり、2,110万円まで贈与税が課されることなく贈与を行うことが出来ます。

 

さらに言えば、この制度で不動産の購入資金でなく不動産自体を贈与する場合、贈与税を計算するさいの不動産の評価額は通常実際の時価よりも安くなります。よって、不動産の形で贈与を行う場合、実際の非課税限度額は通常2,110万円よりも大きくなります

 

ここで注意しなければならない点が、この制度を利用することで贈与税は安くなりますが、不動産の所有者が変わることによる登録免許税、不動産取得税は通常通り課税されることです。登録免許税、不動産取得税は贈与より相続の場合の方が安く済みます。よって、将来相続税が発生しない場合は、税額負担という観点で言えば、あえてこの制度を利用しない方がトータルで支払う税金は安くなることになります。

 

その他の注意点としては、この制度は同じ配偶者からの贈与については一生に「一度」しか適用を受けることが出来ないこと。また、この制度を利用する場合は一定の添付書類をそろえて贈与税の申告を行う必要があることなどが挙げられます。

父母や祖父母などからの住宅取得等資金の贈与の非課税措置

今回の税制改正では、期間限定で曾祖父母、祖父母、両親といった直系尊属から教育資金を一括贈与された場合についての非課税措置が目玉の一つとなっていますが、教育資金以外でも教育資金の場合と同様、曾祖父、曾祖母、祖父、祖母、父や母といった直系尊属から贈与を受けた場合の非課税措置を受けられるものがあります。

息子様やお孫様といった方が住宅を購入される場合、こちらも期間限定ですが、住宅購入資金の援助額のうち一定額までは贈与税が非課税となっています。

具体的には、平成26年12月31日までに、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた方が、贈与を受けた次の年の3月15日までにその住宅取得等資金を、自身が住むために使う家屋の新築、購入や増改築等を行い、贈与を受けたお金をそれら新築、購入や増改築の費用に充てた場合、その家屋に、その3月15日までにご自身が住み始めるか、その後遅滞なくご自身が住み始めることが確実であると見込まれるときには、以下の金額まで非課税の措置を受けることが出来ます。

一定の基準を満たす省エネ等住宅の場合
平成25年・・・1,200万円
平成26年・・・1,000万円

上記以外の住宅の場合
平成25年・・・700万円
平成26年・・・500万円

この一定の基準を満たす省エネ等住宅についてですが、中古のマンションか家屋を購入される場合は、あまり当てにはしない方が良いというのが不動産業者の方のご意見でした。 この制度は、現在のところ、来年までの期間限定の予定であり、また、来年よりも今年の方が上限額が大きいです。 こちらの制度を使われたい場合は、今年中に住宅資金の贈与を受け3月15日までに物件をご購入されるよう検討を進められることをお勧め致します。

平成25年度税制改正と贈与税への影響 その3

前回、贈与実施の年の1月1日時点で20歳以上の方が祖父、祖母、父、母といった直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税について、平成25年税制改正で平成27年以降贈与実施分よりどのように税制が変わるかお伝え致しました。今回は、その税制改正による贈与税の具体的影響額についてです。

以下、前回お伝えした金額に、基礎控除額110万円を加味して考えていきます。

基礎控除110万円を加味して年間410万円までの贈与については、今回の税制改正の影響がありませんので贈与税の税額が変わりません。

そして、年間510万円贈与の場合で贈与税額は55万円から50万円へと5万円の減税、年間710万円の贈与の場合で115万円から90万円へと25万円の減税、年間1,110万円の贈与で275万円から210万円へと65万円の減税、年間1,610万円の贈与で525万円から410万円へと115万円の減税、年間3,110万円の贈与で1,275万円から1,085万円へと190万円の減税、そこから年間4,610万円の贈与までは減税額は190万円で変わらず。

贈与額が年間4,610万円を超えると贈与税の減税額は減少していき、年間8,410万円の贈与では減税額は0、そして贈与額が年間8,410万円を超えると逆に増税となります。

今回の税制改正では、相続税は明らかに増税となっていますが、贈与税に関しては、贈与実施の年の1月1日時点で20歳以上の方が祖父、祖母、父、母といった直系尊属から贈与を受ける場合は年間8,410万円までの、それ以外の贈与の場合は年間3,610万円までの贈与の場合は、税制改正適用後のほうが贈与税が減少、あるいは同額となっています。つまり、同年内によほど多額の贈与を行わない限りは減税方向の改正となっています。

今回の税制改正で、個人事業から法人へという流れに加え、相続から生前贈与へという流れが税制面から指し示されたということが出来るのではないでしょうか。

平成25年度税制改正と贈与税への影響 その2

平成25年度税制改正で、平成27年分以降の贈与税は、贈与を受ける年の1月1日に20歳以上であるものが直系尊属から贈与を受ける場合と、それ以外の場合の2パターンで税率が分かれることになりました。今回は、そのうち贈与を受ける年の1月1日に20歳以上であるものが直系尊属から贈与を受ける場合について、改正後の贈与税でどのような影響が出るかについて見ていきます。

このパターンの贈与の場合、改正前と改正後では、以下のように税率が変更となります。

それぞれ、基礎控除額110万円を別として、
1.300万円から400万円までの贈与の部分に関して、贈与税の税率が15%から10%へと5%の減税。
2.400万円から600万円までの贈与の部分に関して、贈与税の税率が30%から20%へと10%の減税。
3.600万円から1,000万円までの贈与の部分に関して、贈与税の税率が40%から30%へと10%の減税。
4.1,000万円から1,500万円までの贈与の部分に関して、贈与税の税率が50%から40%へと10%の減税。
5.1,500万円から3,000万円までの贈与の部分に関して、贈与税の税率が50%から45%へと5%の減税。
6.4,500万円超の贈与の部分に関して、贈与税の税率が50%から55%へと5%の増税。

結果、300万円から400万円の部分の贈与が5%の減税、400万円から1,500万円までの部分が10%の減税、1,500万円から3,000万円の部分が5%の減税、4,500万円超の部分が5%の増税となっています。

このパターンの具体的な贈与税の影響額については、次回取り上げます。