MISOCAの有料化と、クラウド請求書作成サービスの比較

クラウドでの請求書作成サービスのMISOCAが、有料化されることとなりました。

これまでは、自分で作成した請求書をPDFでプリントアウトしたり、請求書のリンクをメールしたりする分には請求書の数量にかかわらず無料で使用することが出来ました。

また、弥生、MFクラウド、freee全てと連携可能で、仕訳の自動作成が可能であり、非常に有り難いサービスでした。

 

そのMISOCAが有料化されることになった訳ですが、MISOCAの有料後、どの請求書作成サービスが金額的に魅力的か、比較を行ってみました。

結論から申し上げれば、会計ソフトでfreeeを使われている方はfreee、月間50通~100通程度までの請求書作成、または会計ソフトで弥生を使われている方であればMISOCA、月間50通~100通程度以上の請求書の作成を行い、かつ会計ソフトでMFクラウドを使われている方はMFクラウド請求書を利用するのが一般的には一番お得であると考えられます。

freeeについて、会計ソフトとしてのサービスに請求書の作成機能まで含まれており、請求書作成のための別料金が発生しません。但し、freeeは過去に、MFクラウドが料金プランを大幅に改悪した際に、1テンポ遅れて同様の改悪を行ったという前科があるため、この料金上の優位性もいつまで保たれるかという問題はあります。また、価格差以上に会計ソフトとしての独自性の問題が強く、請求書の作成が無料で行えることを理由にfreeeを選ぶくらいであれば、Excelで手動で請求書を作成する方が良いと私としては考えます。

MFクラウド請求書については、月額500円のプランは「取引先」が15件までしか登録できないため、まともに使うには月額2,980円のプラン以上を選ぶ必要があります。反面、月額2,980円以上のプランであれば、取引先の登録数についても、月間の請求書発行数ついても、制限がなくなるため、1ヶ月の請求書発行数が一定数を超えるのであれば、MISOCAよりもコスト面で有利になります。1ヶ月の請求書発行枚数が50通程度であればMISOCAの方がコスト的に有利ですが、50枚~100通であればほぼ同等に、100通程度を越えてくるとMFクラウド請求書の方が有利になります。但し、MISOCAの場合、MFクラウド、freee、弥生の全てに対し自動仕訳の連携が可能ですが、MFクラウド請求書の場合、MFクラウド以外の会計ソフトとの連携は対応しておりません。

他にメジャーな請求書作成サービスとして、MakeLeapsもありますが、こちらは、コスト重視の小規模事業者の場合は、選択肢に入りづらいと思います。

結局、月の請求書発行枚数がそれほど多くない小規模事業者については、結局有料化後もMISOCAがコスト的には一番有利なケースが圧倒的であろうと考えられます。

と同時に、コスト最重視の起業したての事業者の場合、Excelでの作成に戻るというのも極めて有力な選択肢になると思います。

Excelで作成しても請求書の作成自体の手間はそこまで掛かるわけでもなく、仕訳の自動連携といっても全自動で確実に間違いなく行ってくれる訳でなく、多少の手間はかかってしまうので。

人を雇い始める規模までくれば、請求書作成サービスを利用することで節約できる人件費と天秤にかけて請求書作成サービスを利用することになることが多くなるとおもいますが、まだ社長1人のみの事業者の場合など、Excel等で自分で請求書を作成する形に戻すという方が続出するのではと、私は予感しています。

弥生会計オンラインの使い勝手がどんなものか、試してみました

インストール型の会計ソフトでは圧倒的なシェアを誇る弥生会計。この弥生がここ1~2年、クラウド型の会計サービスを続々とリリースし、連携対象も充実させつつあります。

そこで、弥生会計のクラウド型サービスが現時点でどの程度使えるのか。弥生会計オンラインを実際にさわってみて、他の会計サービス、会計ソフトと比較してみました。

以下、その感想です。

 

弥生会計オンラインの良いところ

 

1.仕訳形式での入力がしやすい
メインメニューの画面より「仕訳の入力」を選択するだけで、仕訳の形式で直接入力できるつくりとなっているのは、仕訳形式での会計入力に慣れた方にとっては有り難いと思います。freeeの場合は「振替伝票」より、MFクラウドでも「詳細入力」より仕訳形式の入力は出来ますが、仕訳の入力画面まで行き着く手間は、弥生会計オンラインが一番少ないかなと。
それと、仕訳入力の画面が一番仕訳入力っぽい画面なのも個人的には嬉しいです。また、同じ画面の下の方に仕訳一覧が表示され、コピーボタン1つで入力用仕訳画面にコピー元の仕訳がコピーされるところなども、小さいながらも使い勝手の良いポイントであると思います。

2.仕訳帳から直接取引の入力が可能
弥生会計オンラインは、仕訳帳の画面より「入力の表示」を選択すると、新規の仕訳入力を行うことが出来ます。freeeの場合、仕訳帳より仕訳の修正は出来ても新規の入力が出来ず、MFクラウドも仕訳帳への直接の新規仕訳入力は、β版の使い勝手の悪い機能でしか使うことが出来ません。
仕訳形式の入力に慣れた方が最後に決算関連の仕訳を連続して入力する場合などは、仕訳帳からの直接入力が出来ると作業効率が違ってくるため仕訳帳から直接取引の入力が可能なのは嬉しいです。

3.まとめ仕訳設定ができる
「本機能をご利用になられる場合、あらかじめ税理士などの専門家にご相談されることをおすすめします。」と注意書きが表示される通り、安易に使われてしまうとよろしくない機能ではありますが。弥生会計オンラインでは、スマート取引取込経由で取り込んだ日々大量発生するかつ少額な仕訳を、1ヶ月の締め日ごとに合計してまとめて1本の仕訳としてまとめることが出来ます。
例えば、交通系ICカードから取引を取り込み自動仕訳を作成すると、細かい仕訳が大量に作成され、仕訳帳が分かりづらくなることがあります。そのような場合に、1ヶ月ごとに合算した形式で仕訳作成を選択することが出来ます。
まとめ仕訳設定の機能は、これまで会計ソフトとして展開してきた長年の蓄積を感じさせられました。さすが弥生といったところです。

 

弥生会計オンラインの悪いところ

 

1.取引の自動取込み、自動連携の使い勝手がfreee、MFクラウドに追いついていない
freeeやMFクラウドが、ほとんど手間をかけずに自動連携の設定を行えるようになるのに対し、弥生会計オンラインでの自動連携の設定は、操作方法が分かりづらいこともあり結構手間がかかりました。また、金融機関から取引データを自動で取り込むために、「弥生口座自動連携ツール」というソフトをインストールする必要があること、また、そのソフトがWindowsにしか対応していないことは、クラウドで完結した使用を考えている方、Macでの使用を考えている方にとっては大きなマイナス点だと思います。
また、freeeが標準で請求書の発行から売掛金の入金管理、対応する仕訳の自動作成まで行えるのに対し、弥生会計オンラインではそれら機能が準備されていない点も、freeeと比較して見劣りがします。

2.自動連携先で押さえておいて欲しい先がなかったりする
例えば、AirREGI。AirREGIは、弥生の青色申告オンラインは対応出来ているので、弥生会計オンラインも早めに対応して欲しいところです。他にSquareやCoinyなども。

3.ユーザーインターフェイスがfreee、MFクラウドに追いついていない
これは、実際にそれぞれさわってみて試し比べてみてもらうのが一番良いかと思います。freee、MFクラウドがユーザーインターフェイスの作り込みをものすごく意識しているので、弥生会計オンラインがどうしても相対的に見劣りしてしまいます。
また、例えばMisocaから仕訳データを飛ばす際に会計データで登録がない勘定科目が含まれていた場合、freeeの場合はエラーメッセージ上でどこどこの勘定科目の登録がないとエラーの原因を示してくれましたが、弥生会計オンラインへデータを飛ばした際には、不明なエラーとしか表示がなされませんでした。

4.デスクトップアプリ版と比べて機能が少ない。使い勝手が悪い。
例えば、デスクトップアプリ版では残高試算表の勘定科目をダブルクリックするとその科目の総勘定元帳に飛べるのですが、弥生会計オンラインではそれが出来ません。
細かいところの使い勝手の良さが弥生の良いところなのですが、弥生会計オンラインではまだそれがほとんど実現出来ていないです。
その他、Excelへのデータ書き出しを行える点なども弥生の良いところですが、これも弥生会計オンラインでは機能が実現されていいません。

 

結論


少なくとも現状では、

 

クラウドベースでの使用や会計処理の自動化に重点を置くのであればfreeeかMFクラウド
簿記の形式での入力のしやすさ、使い勝手の良さを求めるのであればデスクトップアプリ版の弥生会計

 

という選択肢にならざるを得ないと思います。

 

freee、MFクラウドと比べると、取引の自動取込み、自動連携の対応範囲や、ソフトの使い勝手が今ひとつです。そして、何よりデスクトップアプリ版の弥生会計と比較して使い勝手が全く追いついていないです。もっとも、

 

  • 取引の自動取込み、自動連携の機能をそこまで使わない。
  • 簿記になじみがあり、とにかく簿記の仕訳の形式で取引処理を行いたい。
  • どうしてもデスクトップアプリではなくクラウドで会計入力を行いたい。

 

以上の条件が揃う場合は、弥生会計オンラインも有力な選択肢の一つになり得ると思います。

 

しかし、上記使い勝手の問題はあくまで現時点での話です。弥生は、これまでのデスクトップアプリとしてのノウハウの蓄積が豊富であり、クラウド請求書のMisocaを買収したりとクラウドサービスに対する姿勢も積極的です。今後弥生会計のオンライン版サービスがどのように進化していくのか、注目しておいても悪くはないと思います。

オンラインの請求書サービスのMISOCAが便利

オンラインの請求書発行サービスで、MISOCAというサービスがあります。Web上で、請求書を作成、郵送代行を行えるサービスです。

他にもオンラインの請求書サービスはいくつかあります。私的には、以下のポイントが決め手となり、MISOCAを使ってみることにしました。

 

  1. 無料で使える
    これは非常に魅力的なポイントです。MISOCAは請求書の郵送サービスやその他オプションサービスで収益を上げる形のフリーミアムのモデルを採用しています。よって、郵送代行サービスを利用せず、自分で請求書を郵送すれば無料で使うことが出来ます。

  2. オプションサービスに、売上回収保証サービスがある
    MICOSAは、郵送代行以外にもカード決済や、売掛金の回収保証サービスも準備してくれています。独立して事業をはじめると、売掛金の回収がスムーズにいかないケースが意外と出てきます。

    MISOCAで利用できる売掛金の回収保証サービスは、1件につき保証額10万円までが800円、それ以上が1万円ごとに80円と料金もリーズナブルです。特に、新規の取引先との取引などでは活用の価値が高いサービスだと思います。

  3. MFクラウドやfreeeといった会計サービスと連携できる
    MFクラウドやfreeeなど、クラウド型の会計サービスと連携してくれているため、MISOCAに入力した請求書の内容を会計情報として自動で取り込むことが出来ます。

 

ということで、まずは試しに請求書の発行をMISOCAで行い、MFクラウドとの連携を試してみました。

 

そして、実際にMISOCAを使ってみた感想。

 

  1. 請求書発行の手間が楽になる効果が思ったより高い
    MISOCAを使ってみるまでは、請求書の発行業務についてはオンラインのサービスを利用しなくてもそれほど手間が必要な業務でなく、業務の効率化の効果もそれほどないと思っていましたが、予想外に効果を実感できました。
    消費税や源泉税についても、請求書の明細項目別に対象外の項目を選択出来たりして、使い勝手はかなりよいです。

    請求書に新規の請求先を入力すると、自動的に請求先リストに反映出来るのも便利です。

  2. 入金管理について、もう少し機能が充実していればなお有り難い
    メモ書きの機能で運用上カバーは出来ますが、入金のステータスが未入金と入金済しかないです。一部入金や過入金といったイレギュラーなケースがステータス上では管理出来ません。
    一部入金といったステータスがあるとより便利かな、とは思いました。

    あと、csvでのデータ出力だと売上の総額しか出力されず、消費税や源泉税のデータ出力が行えない点も、人によっては気になるポイントかなと思います。

  3. 会計サービスとの連携も、概ね満足
    摘要欄に相手先と請求書番号が取り込まれ、csvでのデータ出力では対応していなかった消費税や源泉税の額についても、自動で反映してくれていました。

 

細かい部分では要望があるものの、無料でここまで使えるとは非常にすばらしいサービスだというのが全体的な感想です。

特に、請求管理業務を社長自身でされている方、掛取引がメインとなるビジネスをされている方には活用の価値があるサービスだと思います。