ビットコイン等の仮想通貨と個人の税金

ビットコインの仮想通貨を個人で売買した場合の所得税の扱いについて、国税庁より所得区分の取扱いが先日公表されました。

 

それによれば、事業活動により発生した損益等の場合を除き、原則として雑所得として扱われることとなります。通常の方の場合、ビットコインの売却益は雑所得として扱われると考えて良いでしょう。

 

雑所得となる場合の税率ですが、他の総合課税の対象となる所得と合算しての累進課税となります。

 

従いまして、ビットコインで同じ金額の利益を得た場合でも、他に所得がない方と比較して、給与や事業所得がある方は、より高い税率となります。

 

例えば、他に所得があまりないような方の場合、住民税との合算で約15%の税率で済むことになりますが、高額の給与や事業所得等がある方の場合、税率は住民税との合算で最大約55%程度となります。

 

なお、雑所得となる場合、雑所得間でしか損益の通算が出来ません。大多数の方の場合、仮想通貨の売却益が発生し雑所得が発生すると、所得税の納税は不可避であると考えて頂いた方がよいかと思います。

 

ちなみに、ビットコイン以外の仮想通貨について、国税庁が今回示した見解に記載はありませんが、少なくともビットコインと同じような仕組みの仮想通貨である限りは、同様の所得区分になると考えられます。

 

なお、消費税に関してですが、平成29年7月1日以降は非課税扱いとなっています。

福岡都市圏の路線価の急激な上昇と相続対策(住宅地編)

福岡都市圏の平成29年度の路線価の上昇率。
前回は、福岡市の都心部について年率1割から2割程度の激しい上昇率となっていることを取り上げましたが、続編として福岡市南区を対象とし、福岡市近郊~郊外の住宅地について取り上げてみます。

 


1箇所目は油山のふもとにある福岡市南区柏原の、とあるところ。

こちらの路線価は、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:5.5万円→5.6万円(1.8%の上昇)

 


路線価は1千円単位で発表されているのですが、ちょうどその最小刻みの1千円だけ評価額が上がっておりました。

上昇はしているものの、前回取り上げた都心部と比べると、上昇率は1%台と非常にゆるやかなものとなっています。

 

 

2箇所目は大橋から少し南に下ったところにある曰佐の、とあるところ。

こちらの路線価は、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:8.3万円→8.6万円(3.6%の上昇)

 

先ほどの柏原よりは高い上昇率、とはいえやはり福岡都心部より上昇率は穏やかです。

 

 

3箇所目は中央区に近くよりまちなかである高宮の、とあるところ。

こちらの路線価は、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:15.0万円→16.0万円(6.7%の上昇)

 

年率5%以上の上昇と、さきほどの2箇所と比べても高い上昇率となっています。

やはり、都心部と比べると地価の動向と同様、路線価の上昇率も穏やかであるという結果となっています。

とはいえ、高宮のように路線価の年間の上昇率が5%を超えているような場所もあります。

 

住宅地であったとしても、特に都心に近い場所については路線価の上昇率がかなりの率となっていることも十分にあり得ます。

しかも、この上昇率はあくまで平成28年度から平成29年度の1年間での上昇率です。それ以前から路線価が上昇傾向にあった場合、数年前からの路線価の乖離は当然もっと開くこととなります。数年前に相続税のシミュレーションを行っている場合でも、状況の変化に対応するためシミュレーションのアップデートを行う事は、やはり大切かと考えます。

福岡都市圏の路線価の急激な上昇と相続対策(都心部編)

平成29年7月3日に、平成29年分の路線価が国税庁より公表されました。

 

福岡都市圏の地価は、ここ数年激しく上昇しており、高値での取引が続いておりますが、平成29年度の今年の路線価が、昨年の平成28年度の路線価と比較してどの程度変動したのか、軽く調べてみました。

 

最初に、弊所のある場所の路線価です。弊所は福岡市中央区高砂、地下鉄渡辺通駅と西鉄及び地下鉄の薬院駅の近辺に位置しております。商業地と住宅地が混合しているエリアですが、都心回帰の流れを受け、人口増加率の高い福岡市の中でもマンション開発が非常に盛んなエリアです。

 

 

弊所のある場所の路線価ですが、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:21.5万円→23.5万円(9.3%の上昇)

 

なんと、1年間で1割近い上昇です。

 

 

 

次に、福岡市最大の繁華街天神で、渡辺通りのパルコ横の路線価の上昇率を調べてみました。

結果、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:560.0万円→630.0万円(12.5%の上昇)

 

こちらは、1年間で12.5%と、1割を超える激しい上昇率となっています。

 

 

最後に、九州新幹線の開通と前後した駅前再開発や、地下鉄七隈線の延伸で近年勢いがある博多駅近辺について、大博通りの日航ホテル横をサンプルに路線価の上昇率を調べてみました。

結果ですが、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:266.0万円→318.0万円(19.5%の上昇)

 

なんと、こちらは1年間で19.5%と、ほぼ2割の上昇率となっておりました。

 

路線価は、土地の相続税評価の面積当たりの評価単価の基礎となるため、路線価の上昇は土地の相続税評価額にダイレクトに影響してきます。

 

さらに、相続税は相続財産の評価額に応じた累進課税となっているため、相続税額への影響率は、路線価の上昇率以上となります。

 

路線価の急激な上昇で怖いのが、数年前に相続税額のシミュレーションを行った結果そのままで相続対策を考えていると、実際の相続発生時に想定外の相続税額となりかねないことです。

 

ここ数年の地価動向、そして路線価の動向を鑑みるに、以前相続税額のシミュレーションを行われている場合でも最新の路線価等を元にシミュレーションのアップデートが必要であろうと考えられます。

 

 

専従者給与と、その注意点

個人事業主が家族に仕事を手伝ってもらってお金を支払う場合、他の人にお金を支払うのと違い、そのままでは経費になりません。

専従者給与の制度を利用して専従者控除を取ることで、初めて経費と同じような扱いとすることが出来ます。

この専従者控除、個人事業主の方のなかでは活用されている方が多いです。

しかし、専従者給与には以下のような落とし穴があります。

1.専従者控除の適用対象とした方については、配偶者控除や扶養控除が受けられなくなる。

2.原則、その年を通じて6ヶ月以上、専らその仕事に従事している必要がある。基本的に、他の仕事が出来なくなる。

3.金額に限度がある。白色の場合、配偶者であれば86万円、それ以外の各人が50万円。また、専従者の給与を考慮に入れる前の所得から、事業主及び専従者の人数で割り算した金額を超えることは出来ません。なお当然、業務実態より妥当と考えられる給与金額を逸脱しない金額の範囲内の金額までしか認められません。

 

配偶者控除や扶養控除との重複適用、他の仕事をされている方への専従者控除の適用の誤り事例は、ご自身で申告をなされている方では散見される事例です。ご注意下さい。

MISOCAの有料化と、クラウド請求書作成サービスの比較

クラウドでの請求書作成サービスのMISOCAが、有料化されることとなりました。

これまでは、自分で作成した請求書をPDFでプリントアウトしたり、請求書のリンクをメールしたりする分には請求書の数量にかかわらず無料で使用することが出来ました。

また、弥生、MFクラウド、freee全てと連携可能で、仕訳の自動作成が可能であり、非常に有り難いサービスでした。

 

そのMISOCAが有料化されることになった訳ですが、MISOCAの有料後、どの請求書作成サービスが金額的に魅力的か、比較を行ってみました。

結論から申し上げれば、会計ソフトでfreeeを使われている方はfreee、月間50通~100通程度までの請求書作成、または会計ソフトで弥生を使われている方であればMISOCA、月間50通~100通程度以上の請求書の作成を行い、かつ会計ソフトでMFクラウドを使われている方はMFクラウド請求書を利用するのが一般的には一番お得であると考えられます。

freeeについて、会計ソフトとしてのサービスに請求書の作成機能まで含まれており、請求書作成のための別料金が発生しません。但し、freeeは過去に、MFクラウドが料金プランを大幅に改悪した際に、1テンポ遅れて同様の改悪を行ったという前科があるため、この料金上の優位性もいつまで保たれるかという問題はあります。また、価格差以上に会計ソフトとしての独自性の問題が強く、請求書の作成が無料で行えることを理由にfreeeを選ぶくらいであれば、Excelで手動で請求書を作成する方が良いと私としては考えます。

MFクラウド請求書については、月額500円のプランは「取引先」が15件までしか登録できないため、まともに使うには月額2,980円のプラン以上を選ぶ必要があります。反面、月額2,980円以上のプランであれば、取引先の登録数についても、月間の請求書発行数ついても、制限がなくなるため、1ヶ月の請求書発行数が一定数を超えるのであれば、MISOCAよりもコスト面で有利になります。1ヶ月の請求書発行枚数が50通程度であればMISOCAの方がコスト的に有利ですが、50枚~100通であればほぼ同等に、100通程度を越えてくるとMFクラウド請求書の方が有利になります。但し、MISOCAの場合、MFクラウド、freee、弥生の全てに対し自動仕訳の連携が可能ですが、MFクラウド請求書の場合、MFクラウド以外の会計ソフトとの連携は対応しておりません。

他にメジャーな請求書作成サービスとして、MakeLeapsもありますが、こちらは、コスト重視の小規模事業者の場合は、選択肢に入りづらいと思います。

結局、月の請求書発行枚数がそれほど多くない小規模事業者については、結局有料化後もMISOCAがコスト的には一番有利なケースが圧倒的であろうと考えられます。

と同時に、コスト最重視の起業したての事業者の場合、Excelでの作成に戻るというのも極めて有力な選択肢になると思います。

Excelで作成しても請求書の作成自体の手間はそこまで掛かるわけでもなく、仕訳の自動連携といっても全自動で確実に間違いなく行ってくれる訳でなく、多少の手間はかかってしまうので。

人を雇い始める規模までくれば、請求書作成サービスを利用することで節約できる人件費と天秤にかけて請求書作成サービスを利用することになることが多くなるとおもいますが、まだ社長1人のみの事業者の場合など、Excel等で自分で請求書を作成する形に戻すという方が続出するのではと、私は予感しています。

パート1名の新規募集を行います

業務拡大に伴う増員のため、パート職員の募集を行います。

http://www.otsuru-cpa.jp/recruit/

働きやすい職場を心がけております。また、子育て、税理士受験等のご都合に合わせ、柔軟な勤務形態が可能です。

皆様のご応募、お待ちしております。

フリーゾーンでの法人設立検討のためにドバイに行ってきました

1月の話になるのですが、フリーゾーンでの法人設立検討のためにドバイに行ってきました。

 

フリーゾーンとは、アラブ首長国連邦が設けている特区の制度で、フリーゾーンで法人を作ると、法人税の負担がなく、海外事業や国際投資を行うための中間拠点の会社等として使い勝手の良い会社となります。

 

フリーゾーンはアラブ首長国連邦内に数十箇所存在し、フリーゾーンによって行える業種が異なったりしますが、今回は、金融業のための法人設立の検討が目的であったため、DIFC(Dubai International Financial Centre、ドバイ国際金融センター)を訪問して来ました。

 

DIFCの外観

DIFCの外観

DIFC周辺の建物群

DIFC周辺の建物群

海外で税金がかからない会社というと、本当に全く税金が掛からないように思われるかもしれないですが、世の中そんなに甘くはないです。日本にいる限りは、どこの国を使おうと、基本的には日本で普通にかかるのと同程度の税金は発生するものと考えておく必要があります。

 

しかし、それでも法人税のかからない法人をドバイに作れると、租税条約が結ばれていないといった関係上、実質的に二重課税が発生するといった心配が避けられるケースもあり、今回の法人設立の検討へと至りました。

 

フリーゾーン内に法人を設立すると、確かに利益に連動して発生する法人税は無税となるのですが、日本の均等割に当たる、毎年必ず発生する税金が、以下全て為替レートにもよりますが年間140万円程度。その他、フリーゾーン内にオフィスを持つための家賃が最低クラスでも年間500万円程度。さらに、現地の会計事務所等への管理委託料等まで考えて行くと、下手すると年間1千万円コースの維持費が必要となってきます(他のフリーゾーンを使う場合は維持費はもっと安くて済みますが)。

 

これに見合う節税効果が出るには、相当の投資額や事業規模が必要となります。

 

海外を使って節税を夢見るのも、そう簡単ではないというお話でした。

2017年税制改正と相続対策の封じ込め(海外編)

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが騒がれている平成29年度与党税制大綱ですが、相続税、贈与税といった、いわゆる資産税関連で、これまで節税対策として行われてきた一部の節税策を封じこめるために、目立った改正がなされています。

今回は、そのうちの海外関連の改正について取り上げます。

今回の税制改正で、海外関連の改正としては、相続税等の納税義務の範囲の拡大が予定されています。

 

そのうち第一として、日本国籍を有する方々が海外に住んでいた場合に、日本で相続税を納める義務の範囲が広がるというものがあります。

日本国籍を有する方々について、これまで被相続人等の財産を渡す側の方と、相続人等の財産を貰う側の方がともに過去5年間のあいだ日本に住んでいなかった場合(もう少し書くと、この「住んでいる」の定義は非常に論点となる部分ではありますが)、国外の財産に対しては相続税や贈与税の納税義務の対象とはなりませんでした。

平成29年度の税制改正で、日本に住んでいなかった期間について、過去5年間であった判定期間が、過去10年間に延びることとなりました。

 

第二として、日本国籍を有しない方々についても、被相続人等の財産を渡す側の方が過去10年以内に日本で住んでいたことがあった場合、国外の財産についても相続税や贈与税の納税義務が発生することになりました。

 

一般の方にはなじみのない改正内容ではありますが、一部の富裕層の間では子弟を5年超留学や移住させるなどしてご自身もそれについて行かれるという、相続税や贈与税を逃れるための究極の相続対策が実際になされております。

相続対策のために海外に数年住むことを我慢されている方々に対しては、ダメージの大きい改正であると言えます。

 

なお、これらの税制改正は、平成29年4月1日以後の相続、遺贈、贈与に対して適用がなされることになります。

2017年税制改正と相続対策の封じ込め(国内編)

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが騒がれている平成29年度与党税制大綱ですが、相続税、贈与税といった、いわゆる資産税関連で、これまで節税対策として行われてきた一部の節税策を封じこめるために、目立った改正がなされています。

 

今回は、そのうちの海外関連以外の改正について取り上げます。

 

海外関連以外の改正で、相続税、贈与税の節税対策を一部封じ込めることとなる改正ポイントとしては、目立つもので以下の3つが挙げられます。

 

第一として、取引相場のない株式の評価の見直しが行われます。具体的には、類似業種比準方式による評価について、これまで、純資産、利益、配当の評価の比重が1:3:1であったのが、1:1:1に改正されます。

結果、これら3つの要素の中で一番調整が行いづらい純資産の評価の比重が従来の1/5から1/3と上がることとなり、例えば、利益及び配当の金額を調整し、株式の相続税や贈与税上の評価が下がったタイミングで株式を贈与する、といった節税手法に対して節税のメリットが減退することになります。

 

第二として、広大地の評価の見直しが行われます。広大地とは、おおざっぱに言えば、三大都市圏で500平米、それ以外の地域で1,000平米以上の土地のうち一定のものを指します。広大地に該当すると、広大地でない土地と比較して、大体45%から65%という大幅な評価を引き下げた上で、相続税や贈与税の税額計算を行うことが出来ます。

この広大地の評価方法につき、見直しがなされることとなりました。

 

第三として、いわゆるタワーマンションの評価の見直しが行われます。これまで、タワーマンションの高層階については、実際の時価と相続税、贈与税の計算で用いられる評価額に大幅な乖離があり、それを利用した節税が広く普及していました。これに対し、タワーマンションの建物の相続税、贈与税上の計算で用いられる固定資産税評価額の計算について、建物階数を要素として入れ込むことで対策がなされるととなりました。

今後取得されるタワーマンションについては高層階の相続税、贈与税上の評価が上がることとなります。

 

次回は、海外関連について取り上げます。