福岡都市圏の路線価の急激な上昇と相続対策(住宅地編)

福岡都市圏の平成29年度の路線価の上昇率。
前回は、福岡市の都心部について年率1割から2割程度の激しい上昇率となっていることを取り上げましたが、続編として福岡市南区を対象とし、福岡市近郊~郊外の住宅地について取り上げてみます。

 


1箇所目は油山のふもとにある福岡市南区柏原の、とあるところ。

こちらの路線価は、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:5.5万円→5.6万円(1.8%の上昇)

 


路線価は1千円単位で発表されているのですが、ちょうどその最小刻みの1千円だけ評価額が上がっておりました。

上昇はしているものの、前回取り上げた都心部と比べると、上昇率は1%台と非常にゆるやかなものとなっています。

 

 

2箇所目は大橋から少し南に下ったところにある曰佐の、とあるところ。

こちらの路線価は、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:8.3万円→8.6万円(3.6%の上昇)

 

先ほどの柏原よりは高い上昇率、とはいえやはり福岡都心部より上昇率は穏やかです。

 

 

3箇所目は中央区に近くよりまちなかである高宮の、とあるところ。

こちらの路線価は、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:15.0万円→16.0万円(6.7%の上昇)

 

年率5%以上の上昇と、さきほどの2箇所と比べても高い上昇率となっています。

やはり、都心部と比べると地価の動向と同様、路線価の上昇率も穏やかであるという結果となっています。

とはいえ、高宮のように路線価の年間の上昇率が5%を超えているような場所もあります。

 

住宅地であったとしても、特に都心に近い場所については路線価の上昇率がかなりの率となっていることも十分にあり得ます。

しかも、この上昇率はあくまで平成28年度から平成29年度の1年間での上昇率です。それ以前から路線価が上昇傾向にあった場合、数年前からの路線価の乖離は当然もっと開くこととなります。数年前に相続税のシミュレーションを行っている場合でも、状況の変化に対応するためシミュレーションのアップデートを行う事は、やはり大切かと考えます。

福岡都市圏の路線価の急激な上昇と相続対策(都心部編)

平成29年7月3日に、平成29年分の路線価が国税庁より公表されました。

 

福岡都市圏の地価は、ここ数年激しく上昇しており、高値での取引が続いておりますが、平成29年度の今年の路線価が、昨年の平成28年度の路線価と比較してどの程度変動したのか、軽く調べてみました。

 

最初に、弊所のある場所の路線価です。弊所は福岡市中央区高砂、地下鉄渡辺通駅と西鉄及び地下鉄の薬院駅の近辺に位置しております。商業地と住宅地が混合しているエリアですが、都心回帰の流れを受け、人口増加率の高い福岡市の中でもマンション開発が非常に盛んなエリアです。

 

 

弊所のある場所の路線価ですが、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:21.5万円→23.5万円(9.3%の上昇)

 

なんと、1年間で1割近い上昇です。

 

 

 

次に、福岡市最大の繁華街天神で、渡辺通りのパルコ横の路線価の上昇率を調べてみました。

結果、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:560.0万円→630.0万円(12.5%の上昇)

 

こちらは、1年間で12.5%と、1割を超える激しい上昇率となっています。

 

 

最後に、九州新幹線の開通と前後した駅前再開発や、地下鉄七隈線の延伸で近年勢いがある博多駅近辺について、大博通りの日航ホテル横をサンプルに路線価の上昇率を調べてみました。

結果ですが、

 

平成28年度から1年間の路線価上昇率:266.0万円→318.0万円(19.5%の上昇)

 

なんと、こちらは1年間で19.5%と、ほぼ2割の上昇率となっておりました。

 

路線価は、土地の相続税評価の面積当たりの評価単価の基礎となるため、路線価の上昇は土地の相続税評価額にダイレクトに影響してきます。

 

さらに、相続税は相続財産の評価額に応じた累進課税となっているため、相続税額への影響率は、路線価の上昇率以上となります。

 

路線価の急激な上昇で怖いのが、数年前に相続税額のシミュレーションを行った結果そのままで相続対策を考えていると、実際の相続発生時に想定外の相続税額となりかねないことです。

 

ここ数年の地価動向、そして路線価の動向を鑑みるに、以前相続税額のシミュレーションを行われている場合でも最新の路線価等を元にシミュレーションのアップデートが必要であろうと考えられます。

 

 

フリーゾーンでの法人設立検討のためにドバイに行ってきました

1月の話になるのですが、フリーゾーンでの法人設立検討のためにドバイに行ってきました。

 

フリーゾーンとは、アラブ首長国連邦が設けている特区の制度で、フリーゾーンで法人を作ると、法人税の負担がなく、海外事業や国際投資を行うための中間拠点の会社等として使い勝手の良い会社となります。

 

フリーゾーンはアラブ首長国連邦内に数十箇所存在し、フリーゾーンによって行える業種が異なったりしますが、今回は、金融業のための法人設立の検討が目的であったため、DIFC(Dubai International Financial Centre、ドバイ国際金融センター)を訪問して来ました。

 

DIFCの外観

DIFCの外観

DIFC周辺の建物群

DIFC周辺の建物群

海外で税金がかからない会社というと、本当に全く税金が掛からないように思われるかもしれないですが、世の中そんなに甘くはないです。日本にいる限りは、どこの国を使おうと、基本的には日本で普通にかかるのと同程度の税金は発生するものと考えておく必要があります。

 

しかし、それでも法人税のかからない法人をドバイに作れると、租税条約が結ばれていないといった関係上、実質的に二重課税が発生するといった心配が避けられるケースもあり、今回の法人設立の検討へと至りました。

 

フリーゾーン内に法人を設立すると、確かに利益に連動して発生する法人税は無税となるのですが、日本の均等割に当たる、毎年必ず発生する税金が、以下全て為替レートにもよりますが年間140万円程度。その他、フリーゾーン内にオフィスを持つための家賃が最低クラスでも年間500万円程度。さらに、現地の会計事務所等への管理委託料等まで考えて行くと、下手すると年間1千万円コースの維持費が必要となってきます(他のフリーゾーンを使う場合は維持費はもっと安くて済みますが)。

 

これに見合う節税効果が出るには、相当の投資額や事業規模が必要となります。

 

海外を使って節税を夢見るのも、そう簡単ではないというお話でした。

2017年税制改正と相続対策の封じ込め(海外編)

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが騒がれている平成29年度与党税制大綱ですが、相続税、贈与税といった、いわゆる資産税関連で、これまで節税対策として行われてきた一部の節税策を封じこめるために、目立った改正がなされています。

今回は、そのうちの海外関連の改正について取り上げます。

今回の税制改正で、海外関連の改正としては、相続税等の納税義務の範囲の拡大が予定されています。

 

そのうち第一として、日本国籍を有する方々が海外に住んでいた場合に、日本で相続税を納める義務の範囲が広がるというものがあります。

日本国籍を有する方々について、これまで被相続人等の財産を渡す側の方と、相続人等の財産を貰う側の方がともに過去5年間のあいだ日本に住んでいなかった場合(もう少し書くと、この「住んでいる」の定義は非常に論点となる部分ではありますが)、国外の財産に対しては相続税や贈与税の納税義務の対象とはなりませんでした。

平成29年度の税制改正で、日本に住んでいなかった期間について、過去5年間であった判定期間が、過去10年間に延びることとなりました。

 

第二として、日本国籍を有しない方々についても、被相続人等の財産を渡す側の方が過去10年以内に日本で住んでいたことがあった場合、国外の財産についても相続税や贈与税の納税義務が発生することになりました。

 

一般の方にはなじみのない改正内容ではありますが、一部の富裕層の間では子弟を5年超留学や移住させるなどしてご自身もそれについて行かれるという、相続税や贈与税を逃れるための究極の相続対策が実際になされております。

相続対策のために海外に数年住むことを我慢されている方々に対しては、ダメージの大きい改正であると言えます。

 

なお、これらの税制改正は、平成29年4月1日以後の相続、遺贈、贈与に対して適用がなされることになります。

2017年税制改正と相続対策の封じ込め(国内編)

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが騒がれている平成29年度与党税制大綱ですが、相続税、贈与税といった、いわゆる資産税関連で、これまで節税対策として行われてきた一部の節税策を封じこめるために、目立った改正がなされています。

 

今回は、そのうちの海外関連以外の改正について取り上げます。

 

海外関連以外の改正で、相続税、贈与税の節税対策を一部封じ込めることとなる改正ポイントとしては、目立つもので以下の3つが挙げられます。

 

第一として、取引相場のない株式の評価の見直しが行われます。具体的には、類似業種比準方式による評価について、これまで、純資産、利益、配当の評価の比重が1:3:1であったのが、1:1:1に改正されます。

結果、これら3つの要素の中で一番調整が行いづらい純資産の評価の比重が従来の1/5から1/3と上がることとなり、例えば、利益及び配当の金額を調整し、株式の相続税や贈与税上の評価が下がったタイミングで株式を贈与する、といった節税手法に対して節税のメリットが減退することになります。

 

第二として、広大地の評価の見直しが行われます。広大地とは、おおざっぱに言えば、三大都市圏で500平米、それ以外の地域で1,000平米以上の土地のうち一定のものを指します。広大地に該当すると、広大地でない土地と比較して、大体45%から65%という大幅な評価を引き下げた上で、相続税や贈与税の税額計算を行うことが出来ます。

この広大地の評価方法につき、見直しがなされることとなりました。

 

第三として、いわゆるタワーマンションの評価の見直しが行われます。これまで、タワーマンションの高層階については、実際の時価と相続税、贈与税の計算で用いられる評価額に大幅な乖離があり、それを利用した節税が広く普及していました。これに対し、タワーマンションの建物の相続税、贈与税上の計算で用いられる固定資産税評価額の計算について、建物階数を要素として入れ込むことで対策がなされるととなりました。

今後取得されるタワーマンションについては高層階の相続税、贈与税上の評価が上がることとなります。

 

次回は、海外関連について取り上げます。

東京での富裕層向けサービス勉強会のサテライト会場試験運用

先日、東京で行われている富裕層向けサービスを中心とした勉強会の、福岡のサテライト会場の試験運用を行ってみました。
 
富裕層向けサービスについての首都圏と福岡の情報格差を埋めたいというのは、私が福岡に帰ってきてからいつかは実現したいと考えておりました。東京で勉強会を主宰されている方々、そして、この勉強会を福岡でも行おうと私を誘って下さった方々には、感謝するのみです。

今日の勉強会では福岡の弊所の会議室以外にも、大阪、シンガポールとも繋がっておりました。技術進歩の恩恵を切に感じます。
 
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モザンビークに出張して来ました

今月は、国際税務の業務でモザンビークに出張して来ました。

モザンビークは、租税条約を締結している相手国が10カ国程度しかなく、普段日本で仕事を行っている私としては、新鮮な衝撃でした。

日本とも租税条約は締結されていないです。

もっとも、UAEのみに限定されますが、UAEとの租税条約では配当と利子の源泉税が0%となっており、UAEと取引を行う分には使い勝手は良いです。

モザンビークの件は、気が向けば引き続き取り上げていこうと思います。

相続された家が空き家のままの方へ ~譲渡所得の優遇措置が創設されました~

今年(平成28年)の4月1日から平成31年12月31日までの間に、被相続人の方がお亡くなりになられてそのまま空き家になっていた土地等を売却した場合、一定の要件を満たせば、個人の税金の計算上、売却益のうち3,000万円までを控除出来る制度が創設されました。

不動産の譲渡の際の税率は、計20.315%となるケースが一番多いかと思います。
売却益のうち3,000万円を控除出来れば、税率が20.315%の場合、600万円強、税額が安くなります。

この特例を利用できる具体的な主な要件ですが、

  • 譲渡のタイミングが相続開始日から3年を経過する日である年の年末までであること。
  • 相続または遺贈により引き継いだものであること
  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • マンション等区分所有の建物ではないこと
  • 被相続人の方がお亡くなりになられたタイミングで、被相続人のみがお住まいであったこと
  • 被相続人の方がお亡くなりになられた後、ずっと空き家であったこと
  • 空き家を取り壊し済みの場合、取り壊し済みの土地を貸したり、事業で使ったり、住んだりしていないこと
  • 空き家を取り壊し済みの場合、その後更地のままであること
  • 家屋を取り壊さず土地家屋をセットで譲渡する場合は、地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる一定の 基準を満たしていること
  • 譲渡対価が1億円以内であること

などとなっています。

 

なお、この特例を利用する場合、この特例を受ける旨その他必要事項を記載等の上、確定申告を行う必要があります。

その他細かい注意点もございますので、具体的に相談をなされたい方は税理士等へご相談されることをお勧め致します。

今年より拡充されたNISAと、その注意点

NISAの制度が今年2016(平成28)年より改正され、利用対象者及び上限額について拡充が行われました。

 

NISAとは、少額投資非課税口座を開設してその口座内で上場株式、ETF,REITや株式投資信託等を購入すると、配当金や売却益などが、非課税となる制度です。

平たく言えば、少額の投資についてこの制度を使えば、儲かっても税金がかからなくて済むという制度です。

 

昨年の平成27年までは、1人年間100万円分の購入分までについて利用することが出来ました。これが、今年平成28年より1人年間120万円分の購入分まで利用することが出来るようになりました。

 

ちなみに、このNISAの制度。現在のところ期間限定です。平成35年までこの制度の存続が予定されており、平成35年までの残り8年間にわたって毎年120万円分を上限に上場株式や株式投資信託を購入して利用することが可能となっています。

 

また、ジュニアNISAと呼ばれる制度が新しく始まり、これまでこの制度を利用できなかった、0歳から19歳までの未成年も年間80万円を上限にこの制度を利用することが出来るようになりました。

 

 

NISAの注意点ですが、従前からの注意点については以前「日本版ISA NISAの上手な活用方法を考える」で取り上げましたので、こちらをご覧頂ければと思います。

 

さらに、今回新たにスタートするジュニアNISAの場合、上場株式等の購入資金の原資についても注意する必要があります。

具体的には、ご本人がもともとお持ちの資金を原資に投資を行うのではなく、例えばお爺さんよりお金をもらってなど、他の方から資金を貰ってジュニアNISAを利用した投資を行う場合、貰った資金について贈与税の非課税限度枠を超える場合は、通常の贈与と同様贈与税が発生することになります。

 

ジュニアNISAの上限額は年間80万円のため、贈与税の非課税限度枠を超えることはないと考えられる方もおられるかと思います。しかし、例えばジュニアNISAのために80万円、その他に100万円、と年180万円を贈与した場合、合算して贈与税の申告を行い納税する必要があります。

このことは、ジュニアNISAにだけでなく通常のNISAであっても同じです。しかし、ジュニアNISAの場合、資金の贈与とセットで行われる場合が多いと考えられるため、とくに注意しておく必要があります。

今年4月からの減価償却制度の改正と、その注意点

今回平成28年度の税制大綱において、平成28年4月1日以降に取得する一部の固定資産につき、定率法による減価償却が出来なくなることが発表されました。

今回税制改正の対象とされている固定資産ですが、建物付属設備及び構築物とされています。建物付属設備とは、おおざっぱに言えば建物と一体で使う設備のことです。建物の電気設備、給排水設備、エレベーターといったものが具体例としてあげられます。構築物とは、おおざっぱ言えば土地に固定させて作るもので建物のように壁がないものです。例えばへい、花壇、道路の舗装といったものが具体例としてあげられます。

これにより、今後は減価償却の方法が定額法に一本化され、税法上早期に取れる償却額が減少することとなります。

 

定率法による償却で早めに減価償却費の計上を行いたい場合、いまから駆け込みで来月3月末までに取得を行う必要があります。

 

しかし、ここで注意点があります。

 

今回の税制改正で、全ての固定資産について定率法による償却が行えなくなる訳ではありません。

例えば自動車であったり、機械や備品といった、建物付属設備や構築物に該当しないものは平成28年4月以降に取得したとしても、これまで通り定率法での償却をおこなう事が可能です。また、建物については既に減価償却の方法が定額法に一本化されています。

 

また、定率法での減価償却を行うには、平成28年3月中に「取得」しなければなりません。なので、3月までに発注だけでなく「取得」まで行えるよう、スケジュールを考える必要があります。

 

もっとも、定率法であっても定額法であっても、時期の早い遅いはありますが、最終的に減価償却を行えることには違いがありません。

従いまして、ケースにもよりますが、建物付属設備や構築物の取得の計画がある方でも、無理に3月中に取得出来るように動くだけの価値があるかと言えば、そこまでの価値がない方も多いのではと思います。

 

※その他、一部鉱業用減価償却資産の減価償却方法も、同日以降に取得する場合につき改正がなされていますが、こちらにつきましては割愛させて頂きます。