平成30年度の税制改正で、小規模宅地の特例のうち貸付事業用宅地等について、相続の開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等については、相続人の方が相続の開始のタイミングまで3年を超えて引き続き事業と呼べる規模で不動産賃貸業を営んでいた場合を除き、小規模宅地の特例の適用対象外となりました。

 

小規模宅地の特例とは、相続税申告の際の相続財産の評価額の計算において、一定の要件を満たす土地につき一定の面積の土地まで定められた率での評価減を行えるというものです。貸付事業用宅地の場合、50%の評価減をこの制度で受けることが出来ます。

 

これにより、もともと不動産賃貸業を営んでいた場合を除き、相続発生前に駆け込みで賃貸物件を取得し小規模宅地の特例を受けることが不可能になりました。

 

もっとも、小規模宅地の特例が使えなかったとしても、相続税の観点からは不動産の賃貸物件を保有することは節税につながることが多く、今回の改正で不動産の賃貸物件取得が相続税対策上無意味になったというわけではないです。

 

ただ、小規模宅地の特例が使えなくなることにより、同制度が使える場合と比べ節税効果は低くなります。当然不動産市況の変化や物件の管理のしやすさ等、税務以外の要因も含めた総合的な判断が必要となりますが、小規模宅地の特例を賃貸物件で受けられたい場合は、早めの相続対策がより大切となります。